ニッケ一宮介護村 「介護村 そこまで言って委員会」

今月の一宮介護村の研修会のテーマは、「倫理・法令遵守」でした。テーマだけを聞くととても硬い内容ですので、敬遠しがちなものかもしれませんが、今回の研修では、「介護現場における倫理とは?」とじっくり考えさせられる内容でした。
それは、今を生きる介護職であれば、「当たり前」=「常識」とされることです。

例題 「転倒を3度繰り返していたAさん、ベッドで休むことは転倒の危険性があるため、床にマット、布団を敷いて対応することにした」

この行為が正しいのかどうかについて「〇」か「×」の意見を徹底的にディベートしました。
そのディベートで、「〇」、「×」について賛同する意見を聞いていきます。
正しい答えというものはありませんが、今回のテーマ「倫理」に沿って意見を集約していくと、「元々Aさんは、転倒はするほど足腰が弱っているかもしれないが、元々は歩いていた方。夜には自分で起きてトイレに行きたいかもしれない。床に布団にすることで転倒リスクは減るとしても、それはAさんの行動を制限することになる。それは身体拘束に該当するのではないか?」
「Aさんが床に寝ていて、Aさんが這いずりまわって廊下にまで出てくるということがあるとしたなら、それは放ったらかしでしょ?ただの介護放棄に近いことであって、ベッドがダメなら床に寝てもらうほかにも方法があったはず。それを考えない、努力をしないのは職業倫理に反するでしょ?」

「Aさんは元々、どんな生活をしていたのか?それによって捉え方は異なる。Aさんはずっと畳の上で就寝していた方かも知れない。それをこちらの都合で、介助がしやすいからということでベッド対応にしていたのであれば、そもそもそれが間違い。ベッドが落ち着かないからベッドから降りて、それで転倒してきた。床にマットで寝るということになればそれは本来のAさんのスタイルであり、Aさんを尊重していることになる」

「Aさんがベッドから自分で起きて歩いてトイレに行っていたとしたら、これはそれをできなくする行為。歩くことができなくなる。Aさんが認知症だとしたら、それが長期化して歩くことすら忘れる。本来できていたことができなくなるということは自立支援の考え方に反することだ」

職業倫理、人権の尊重、自立支援・・・=その人にとっての普通の暮らし、当たり前の暮らし、人間らしい暮らしを送って頂けるようにサポートしていくのが介護職であり、その根底にあるのが職業倫理なのです。
 
介護村版「そこまで言って委員会」は熱い時間になりました。

介護事業本部  高橋

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