一宮介護村定期勉強会。早くも介護研究会(笑)の黒田先生にお願いしてから今回で丸5年になります。当初からずっと変わらないテンションで、楽しく、意欲的に「介護の原点」を思い起こさせる勉強会になっています。
今回のテーマは「認知症介護」です。
認知症というと広い定義になりますが、要は「人と人の結びつきの大切さ」が柱になるということなのです。
当たり前のことですが、介護の現場にどっぷり浸かっていると、この大切な感覚がマヒしてくるのでしょう。今回の勉強会はそんな大切なものを呼び起こすようなとても良い時間となりました。
ヨーロッパの介護に根差している「ユマニチュード」という言葉があります。
今回は、「ユマニチュード」という考え方をもってして認知症の方へ接するということを職員が動画を見た後、実際に3名一組で演習をしてもらっています。
人と接する際に当たり前に行っている行為を、優しく、相手の目線で、ゆっくりと行います。
認知症の高齢者の目線、視野はとても狭く、自分自身の両手で双眼鏡のように目をふさいだ状態の視野がそれに近いと言われています。
その状態で、いきなり真後ろから、真横から肩をたたかれたり、声をかけられると驚きます。
その瞬間から、認知症の方は介護者に対して不信感を持ち、不安になってしまう。
そうではなく、相手の正面から笑顔でゆっくりと近づいて、ややオーバーなアクションで声をかけると、目の前に近づいてくる職員がとても信用できる存在に思えるのです。
そして、手を握って「あいたかったよ~」と触れ合う、外人がボディランゲージでコミュニケーションをとりますが、まさにそれです。
「魔法の介護」というような呼び方でユマニチュードは言われていますが、実際は私たちがどこかで見たことのあるもの。魔法でもなんでもなく、「私たちが人間として大切にしていた何か」ということがわかります。
顔をしっかりと覚えてくれている認知症のKさんですが、それでも勉強会で行った対応で接すると、喜びの度合いがまるで違います。今日はいろんな方にそういった接し方を試みていたら、もらえる元気の量が違いました。
ちょっとだるい朝だけれど、「今日もなんとかやっていけそうだ」となるわけです。
こうすることで介護に携わる人間は力をもらうのです。
普段仕事をしていて、元気がなくなったら人から元気をもらえばいいのです。
だけど、それは一方的に与えられるものではない。
こちらから愛をむけなければ、愛は、元気は誰からも向けられることはないから、誰かに優しさをむけなきゃいけません。
それは人の世の常ではないでしょうか。
ユマニチュードは「優しさを伝える技術」。
自分が「私は人間なんだ」と感じさせる技術です。
どんな体になっても、どれだけ認知症が進んでも「人間でいたい」気持ちは変わりません。
ちょっと広い話になってしまうけれど、世界中の人がこういう考えならば、戦争なんてないだろうなと思いました。
人間なら皆、愛がほしいのです。
ニッケつどい一宮 高橋